ロシュ社のイグナイタ社買収の命運はFundation Medicine社が握っている

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社は、ROS1、NTRK遺伝子変異を有する固形がん患者に対する治療薬であるエントレクチニブを開発するイグナイタ社を17億ドル(約1900億円)で買収することを2017年12月22日に自社のプレスリリースで公表した。この買収はエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の事業戦略である

‘fitting treatments to patients’

に則った買収であり、既存の事業領域にシナジーのある買収である私は考える。‘fitting treatments to patients’とは、端的に言えば個別化医療であり、患者個人の遺伝子をはじめとした特徴に基づいた治療を提供することを意味する。

私がこの買収にシナジーがあると感じたのは、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の傘下には2015年に買収したFundation Medicine社が存在するからである。

Fundation Medicine社が開発している次世代シークエンサー(NGS)であるコンパニオン診断のFundationOneCDx(F1CDx)は固形がんにおける324種類の遺伝子変異、2種類のゲノムサインを一度に特定できる。

近年開発される抗がん剤はエントレクチニブをはじめ、大半の薬剤が遺伝子変異などの効果予測因子を標的として開発されている。しかし、開発された薬剤の効果が特定の遺伝子変異に対して有効性があると確証されていても、対象となる患者本人でその遺伝子変異が特定できなければ絵に描いた餅である。

この意味で、FundationOneCDx(F1CDx)のように1回の検査で複数の遺伝子変異をはじめとした効果予測因子を患者本人で特定できるコンパニオン診断は個別化医療を加速させるインフラ的な存在である。

そして、エントレクチニブのような遺伝子を標的とした治療薬を複数持てば持つほど、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社単独で診断から治療までを一気通貫で提供できるのだ。

以上の背景から、今回の買収を私は肯定的に考える。たとえ、日経新聞社の見出しで“売上高ゼロの米社、ロシュが買収1900億円”と書かれていても。なお、Fundation Medicine社の株が欲しい場合、SBI証券では取り扱いがないのでマネックス証券の口座を開設することをおすすめする。

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