ラクオリア創薬(4579)の株を空売りする前に知っておいて欲しいたった1つのこと

2018年5月29日、ラクオリア創薬(4579)の株価は1383円です。この株価は、2018年1月22日につけた年初高値である3320円よりも58.3%下落しております。この下落理由は、

そう、機関投資家による空売りです。野村証券、モルガン・スタンレー、JPモルガンをはじめとした機関投資家がここぞとばかりラクオリア創薬(4579)の株を売り叩いているためです。しかし、機関投資家が空売りをしているとの理由だけで個人投資家が空売りに安易に追随してはいけません。

なぜなら、近日中(6月~7月頃)にラクオリア創薬(4579)がライセンスアウトしたカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であるテゴプラザンが韓国で承認されることをライセンスアウト先のCJヘルスケア社が2018年5月28日に公表したからです。



つまり、個人投資家はラクオリア創薬(4579)の株を空売りする前に、テゴプラザンの韓国での承認がラクオリア創薬(4579)の株価に与える影響を考える必要があるということです。では、どうすれば株価に与える影響を予測できるのでしょうか?そのためには、

韓国におけるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の市場 × テゴプラザンが獲得でき得る市場シェア × ロイヤリティ比率

を知る必要があります。しかし、韓国におけるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の市場以外の数値はどこにも公表されていないためあくまでも予測するしかありません。

なお、テゴプラザンがカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)にも関わらず、別の作用機序であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の市場を計算する理由は、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)はプロトンポンプ阻害薬(PPI)の改良品の逆流性食道炎に適応のある薬であるからです。例えるなら、プロトンポンプ阻害薬(PPI)はiPhone8であるのに対してカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)はiPhoneXです。



閑話休題。韓国におけるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の市場規模はラクオリア創薬(4579)のIRによれば500億円であると試算されております。では、テゴプラザンが獲得でき得る市場シェア、ロイヤリティ比率はどう予測すればよいのでしょうか?

前者は、テゴプラザンと同種同効薬であり国内で先駆けて2015年に発売されたカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であるタケキャブ(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)の売上に基づいて推測できます。2015年度の国内プロトンポンプ阻害薬(PPI)の市場規模は2000億円であり、その内タケキャブの売上は84億円。つまり、タケキャブが獲得した市場シェアは4.2%です

また、ラクオリア創薬(4579)は韓国でのテゴプラザンの売上に応じたロイヤリティ収入をライセンスアウト先のCJヘルスケア社より受領しますが、残念なことにその比率は公開されておりません。例えば、抗PD-1抗体薬キイトルーダのロイヤリティ比率は2.5%~6.5%であるように、バイオ・製薬のロイヤリティ比率の相場は6%前後です。ですので、テゴプラザンのロイヤリティ比率も6%とします。以上の結果、

500億円 × 0.042 × 0.06 = 1億2600万円

テゴプラザンの韓国での承認はラクオリア創薬(4579)に対して年間1億2600万円程の利益をもたらします。2018年5月11日に公表されたラクオリア創薬(4579)の第1四半期決算短信の純利益が3億1100万円の赤字であることを考慮すると、この承認の影響力はあると考えられます。

しかし、空売りを止めるほどの影響力があるか?と聞かれれば、それは時期尚早であると私は考えます。なぜなら、タケキャブの売上がぐーんと伸びたのは発売年の翌年以降であるためです。2017年度タケキャブの国内売上は551億円であり、これは国内プロトンポンプ阻害薬(PPI)市場における27.5%にあたります。



仮に、テゴプラザンがタケキャブ同様の市場シェアを獲得すれば、年間8億2500万円程ライセンス収入をラクオリア創薬(4579)は得ますので一気に黒字転換します。もちろん、27.5%という市場シェアはiPhone8をiPhoneXに切り替える力技を持つ武田薬品工業(4502)の営業隊だからこそ成し得た偉業であることは否めません。しかし、長期的に見ればテゴプラザンという薬にはそれくらいのポテンシャルはあるということを頭の片隅に置いていただければ幸いです。

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